プロの音楽家がアンコールに答えると残業手当がつく場合がある?
Category : 2012 Diary, News in Japan
【ナニワ文化の遺伝子 消滅か存続か(上)】「超勤」とアンコール断る大フィルの"特権意識"(1/5ページ) - MSN産経west残業手当がつくのは当たり前と言えば当たり前ですが・・・。 アンコールの拍手をしている間に、 「今日は残業手当がつくな。」と考えている人がいると思うと、 純粋な気持ちでアンコールをするのもなんかね~。水を差さないでよ。 と言う気持ちにもなります。
鳴りやまないカーテンコール。一度は舞台袖に帰った指揮者が何度も呼び戻され、楽員と一緒に笑顔で応える。ところが午後9時ごろになると楽員同士が目配せを始め、舞台を去っていった。
「あと1曲アンコールをしてほしいのに『超過勤務になるから』と断られた。サービス精神があまりにも欠けているのではないか」。コンサートを依頼した興行主は憤った。
大阪フィルハーモニー交響楽団(大フィル)のコンサートの一幕だ。
大フィルの楽員の勤務時間は1日6時間だが、午後9時を過ぎると15分間で約2千円の超過勤務手当が発生する。
興行主は「どこのオーケストラにも組合があるのは知っているが、大フィルの組合は特権意識が強すぎる。フィナーレの大切な時間帯に残業手当を設けること自体が問題」と疑問を投げかける。
"特別扱い"も今や昔
平成20年、橋下徹氏が大阪府知事に就任し、大阪センチュリー交響楽団(当時)の補助金を全額カット、府立国際児童文学館を廃止するなど文化行政への見直しを徹底。昨年12月に大阪市長に就任後も「グレートリセット」を合言葉に、文化・芸術に自立と人と金を集める役割を求める。そんな中で大フィルと文楽はやり玉にあげられ、今年5月の市政改革プランの素案で補助金の大幅カットが示された。
大阪城をバックに行われた大阪フィルハーモニー交響楽団の星空コンサート=今年6月2日、大阪市中央区(柿平博文撮影)
大フィルは、市から"特別扱い"されてきた歴史がある。昭和22(1947)年に誕生した大フィルは、世界的な指揮者、朝比奈隆...コンサート=今年6月2日、大阪市中央区(柿平博文撮影)
3年前、かつて府知事時代の橋下氏と、アートフェスティバル「水都大阪2009」の運営をめぐって、"バトル"を繰り広げた現代美術家のヤノベケンジさん(46)は「大阪の文化が破壊されると思って戦ったが、橋下さんは文化を否定しているのではなく、仕組みを問題にしていた」という。「既成の構造をリセットして一から考え直したいのだと思う」
怠ってきた「愛される努力」
作曲家の三枝成彰(しげあき)さん(69)は「現在の大阪の文化は崩壊している。大阪の人たちが文化、芸術を必要としていないからだ。ただ芸術家も既得権益に守られ、愛されるための自助努力を怠ってきたのではないか」と指摘する。三枝さんは約45年前、東京芸大の大学院生だったころ夜行列車で大阪にコンサートに駆けつけたことがある。「当時、日本のクラシック音楽は、西高東低で大阪が中心だった。それを支えていたのが朝比奈さんであり、大フィルだった」と語る。
ホッと一息も、本番はこれから
先月20日、橋下市長が7月議会に提出する今年度本格予算で前年比25%カットが検討されていた大フィルの削減幅は10%にとどまり、約1億円を補助する方針が固まった。市からは、大フィルはコンサート回数の増加や社会還元活動への積極参加などこれまで以上に取り組むことが求められ、3年の準備期間をめどに自立が決まった。
大阪城をバックに行われた大阪フィルハーモニー交響楽団の星空コンサート=今年6月2日、大阪市中央区(柿平博文撮影)
翌日、大フィルの佐々木楠雄(くすお)常務理事(54)は、楽員を前に「これで安心しないでほしい。良い演奏をして、市民に納得してもらえるよう頑張ってほしい」と呼びかけ、内部改革を引き続き行うことを強調した。
350年と65年という歴史の違いはあるものの、ともに大阪で生まれ、大阪を基盤に活動してきた文楽と大フィル。いまその存在が厳しく問われている。
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橋下改革のもとで急展開を迎えようとしている大阪の文化政策。大阪の文化、芸術はどこに向かおうとしているのかを検証する。
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