Menu - Chiayi Chicken Rice
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メニューの一番左に書かれた鶏肉飯。火鶏肉と書かれたものが、七面鳥(Turkey)の肉らしい。
嘉義名物の鶏肉飯(チーロウファン・ゴェーパープン)
台湾の人々に「嘉義という地名から連想する食べ物は何か」と尋ねてみると、必ずや「鶏肉飯」という言葉がかえってくる。この「鶏肉飯」はご飯の上に鶏肉を細く刻み、独特のタレをかけただけという軽食だ。一見すると、あまりにもシンプルなことに誰もが驚かされてしまうが、一度でも口にしてみれば、その味わい深さに脱帽させられることであろう。
早速、嘉義名物「鶏肉飯」を食してみよう。まず、注目したいのがこの町にある鶏肉飯の店は、その大半が専門店であることだ。メニューは決して多くはない。中には鶏肉飯以外には何も置いていないという店まであって、それぞれのプライドが見え隠れしている。
この鶏肉飯の美味しさの秘密を探ってみよう。まずは肉から。実は、嘉義の鶏肉飯は、鶏肉ではなく、七面鳥の肉を用いる。値段としても決して安くはない七面鳥の肉を贅沢に使うところから、嘉義の鶏肉飯はひとあじ違うのだ。ちなみに七面鳥は嘉義の南隣りにある都市・新営が産地とされている。
調理はローストした七面鳥の肉の皮と脂身を丁寧に取り去ることから始まる。そしてキャベツを切るが如く、細くスライス。細ければ細いほどタレが肉にしみわたるので、これは重要なポイントだ。そして、全体に行き渡るようにタレをかける。このタレの味が真似できない。聞いてみれば、ニンニクや薬味、小魚などをじっくり3日ほど煮込んで作るのだという。どの店にも門外不出のタレがあり、それが店を支えているとも言われている。たしかに濃いめではあるものの、しつこさを感じさせないこのタレは嘉義ならではのものである。台湾ではよく耳にする「名物はその土地で食べろ」というグルメの鉄則を改めて納得させられるであろう。
嘉義の人が鶏肉飯を食べる様子を観察していると、あわせて味噌汁を注文する人が多いことに気づいた。もちろん、この味噌汁も台湾風にアレンジされている。我々の舌には若干薄味に感じてしまうが、やや甘めに味付けされた鶏肉飯にはこれがピッタリと合う。ここは人々にならって台湾風の味噌汁も合わせて賞味してみよう。
嘉義には夜市もあるので、そぞろ歩きを楽しもう。もっとも賑やかなのは、文化路の夜市だ。お腹がすいたら鶏肉飯を食べよう。一杯あたりの量は多くないし、口あたりがいいので、いくらでもお腹に入ってしまう。注意するのは「食べ過ぎ」だけ。道端のテーブルで、南国の熱気を感じながら食べる鶏肉飯。どこにもありそうだが、なかなか味わえない、嘉義ならではの楽しみの1つである。
(朝日新聞国際版に寄稿した文章を改作・作者片倉佳史)
Last Update:2005-05-11